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今と昔を温泉でつなぐ。別府温泉・杉乃井ホテルから湯けむりの街へ

2 時間前
読了時間: 5分

著者:マリナ ベチャート


別府

日本には、温泉を目的に訪れたくなる街がいくつもあります。今回の旅先は、大分県の別府です。


駅の近くにも、住宅街にも、山の斜面にも温泉があり、街のあちこちから白い湯けむりが立ち上がります。温泉が街そのものに溶け込んでいるような場所です。

今回の旅では、そんな別府の温泉文化を、ホテルでの滞在と街歩きの両方から楽しみました。



80年を超える歴史を持つ杉乃井ホテル

滞在先に選んだのは、別府の高台に建つ杉乃井ホテルです。

杉乃井ホテルは1944年創業。2024年に創業80周年を迎えた、別府の歴史ある温泉リゾートです。

杉乃井ホテル

創業後、プールやボウリング場、レストランなどの施設を充実させながら、規模を拡大してきました。2003年には、大展望露天風呂「棚湯」が開業しました。

棚田のように五段に広がる湯船から、別府湾と別府市街を見渡せます。湯につかりながら街を眺められる、杉乃井ホテルを象徴する施設です。


その後、2021年に「虹館」、2023年にフラッグシップ棟「宙館」、2025年に「星館」が開業。2019年から進められた大規模リニューアルは、星館の開業をもって完了しました。



星館に泊まる

今回宿泊したのは、その「星館」です。

星館に足を踏み入れると、明るく清潔感のある、現代的な空間が広がります。一方、窓の向こうには湯けむりが立ち上る別府の街並み。新しい館内と、温泉の街の風景との対比が印象に残りました。


星館の最上階にある「和ダイニング星 HOSHI」では、和食を中心としたビュッフェを楽しみました。地元の食材や新鮮な魚を使った料理が並び、寿司や刺身などもいただけます。日本酒や焼酎などのお酒も楽しめ、ディナービュッフェではフリードリンクが提供されていたのもうれしいポイントでした。


杉乃井ホテルは、宿泊棟ごとに異なる魅力を持ち、子どもから大人まで、それぞれの過ごし方を楽しめる場所です。星館で過ごしていると、観光の合間にホテルへ戻って休むというより、ホテルそのものが旅の目的地になっていました。温泉に入り、遊び、食事をし、部屋でゆっくり過ごす。温泉リゾートならではの贅沢です。



鉄輪(かんなわ)へ。湯けむりの街を歩く

別府温泉・杉乃井ホテルから湯けむりの街へ

翌日は鉄輪へ向かいました。鉄輪は、別府の中でも特に「温泉の街」という言葉が似合う場所です。道を歩いていると、あちらこちらから湯けむりが立ち上がっています。温泉の蒸気は「地獄蒸し」という調理法に使われ、地熱は暮らしにも利用されてきました。温泉が人々の生活の中にある、それが鉄輪の魅力です。今回は、ここで二つの温泉を訪れました。


別府温泉・杉乃井ホテルから湯けむりの街へ

ひょうたん温泉。100年以上続く湯

ひょうたん温泉は1922年創業。公式サイトによると、創業者が妻のリウマチを癒やそうと温泉を掘り当てたことに始まります。創業当初につくられたひょうたん形の岩風呂は、現在も女湯に残っています。100年以上の歴史を思うと、ここで湯につかること自体が別府の歴史に触れる体験のように感じられました。


ひょうたん温泉の特徴の一つは、源泉を薄めずにかけ流していること。竹製の冷却装置「湯雨竹(ゆめたけ)」で高温の源泉を冷まし、加水せずに入浴できるよう工夫されています。大浴場に加え、砂湯、むし湯、瀧湯、露天風呂など、楽しみ方もさまざまです。

杉乃井ホテルのような大規模リゾートとはまた違う、歴史ある温泉の姿に触れることができました。

 


坊主地獄で体験する鉱泥温泉

もう一つ訪れたのは、坊主地獄にある鉱泥温泉です。坊主地獄は、地下から熱い泥が「ボコッ、ボコッ」と湧き上がる場所。丸く盛り上がる熱泥が坊主頭のように見えることが、名前の由来とされています。そんな地熱の力を間近に感じられる場所で、鉱泥温泉を体験しました。

鉱泥温泉は、泥を含んだ独特の湯です。湯の中に細かな泥があり、体を包むような感触が印象的でした。地下から伝わる熱に、別府の大地の力を感じました。

坊主地獄での入浴は、地熱を身近に感じられる体験でした。



新しいホテルと受け継がれる温泉文化

今回の別府旅行では、二つの時間が同時に流れているような感覚がありました。

一方には、2025年に開業した星館。快適で現代的な温泉リゾートがあります。

もう一方には、100年以上続くひょうたん温泉や、鉄輪の湯けむり、坊主地獄の泥湯があります。


ホテルと街。

リゾートと昔ながらの湯。


一見すると違うものですが、どちらも「温泉」という共通の文化でつながっています。80年以上の歴史を持つ杉乃井ホテルが時代とともに姿を変えてきたことも、別府という土地の魅力を象徴しているように思います。

昔から続く温泉を大切にしながら、その楽しみ方は時代に合わせて変わっていく。星館の新しさと、別府に受け継がれる温泉文化。その両方を体験できたことが、今回の旅の一番の魅力でした。

別府では、温泉そのものが旅の目的になり、湯を通して土地を知ることができる。

次に訪れるときは、今回とはまた違う温泉に入ってみたい。そんな余韻を残して、別府を後にしました。



Information

別府温泉 杉乃井ホテル

〒874-0822 大分県別府市観海寺1

TEL 0977-24-1141




著者について

マリナ ベチャート

神戸出身の二児の母。2014年よりスイス在住。美容、健康、料理、子育て、旅行、グルメ、言語、キャンプなど、興味のあることはさまざま。

人と話すことが好きな社交的な性格の一方で、読書をしたり、料理やドラマ鑑賞など一人の時間を過ごすことも大切にしています。

スイスでの暮らしを通して得た経験や、日々の生活で感じたことを交えながら、さまざまなテーマを丁寧に、わかりやすくお届けできればと思っています。

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