ポリワーキングとは?副業・複業との違いと、定年後にも広がる新しい働き方
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- 7 日前
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著者:Eat Well · Feel Well · Live Well 編集部

これまで「仕事はひとつ」が、ごく普通の働き方でした。ひとつの会社に勤め、そこでキャリアを積み、やがて定年を迎える。
けれど、その形が少しずつ変わり始めています。
会社で働きながらフリーランスの仕事をする。週に数日だけ組織で働き、残りの日は自分のビジネスに使う。専門職を続けながら、別の分野で小さな仕事を持つ。
こうした、複数の仕事や収入源を組み合わせる働き方を表す言葉として「ポリワーキング(Polyworking)」が注目されています。
SHRM(米国人材マネジメント協会)は「Polyworking」を2026年の働き方をめぐるトレンドのひとつとして取り上げています。欧米では物価上昇や雇用への不安を背景に、複数の仕事を持つ人たちについてReutersやAPなども相次いで報じています。
ただし、この働き方を「生活費を補うための副業」とだけ考えると、その広がりは見えてきません。
ポリワーキングとは?「副業」「複業」との違い
ポリワーキング(Polyworking)とは、一人が複数の仕事や職業上の役割を持ちながら働くスタイルを指す言葉です。
似た言葉に「副業」や「複業」がありますが、ニュアンスには少し違いがあります。
「副業」は、会社員などの本業を中心に、追加の仕事を持つ働き方です。あくまで「本業」と「副業」という主従関係があります。
一方の「複業」は、複数の仕事を持ち、それぞれをキャリアの一部として捉える考え方です。「どれが本業なのか」を明確に分けないケースもあります。
ポリワーキングも複業に近い考え方ですが、さらに幅広く、会社員、フリーランス、個人事業、クリエイティブ活動、短時間勤務などを自分の生活や目的に合わせて組み合わせて働くことまで含めて使われています。
たとえば、週3日は会社で働き、別の日にはコンサルタントとして仕事をしながら、自分の小さなビジネスを育てる。こうした働き方もポリワーキングの一例です。
大切なのは、単に「仕事を増やす」ことではありません。
ひとつの会社やひとつの肩書きだけにキャリアを限定せず、複数の仕事を組み合わせながら、自分に合った働き方を設計する。
そこに、従来の副業とは少し違うポリワーキングの特徴があります。
スイスでも増える「複数の仕事を持つ人」
複数の仕事を持つ働き方は、スイスでも珍しいものではなくなっています。
スイス連邦統計局(FSO)によると、2025年に複数の仕事を持っていた就業者の割合は8.1%。1991年の4.1%から、30年以上かけてほぼ倍増しました。
つまり、働く人のおよそ12人に1人が、ひとつだけではなく複数の仕事を持っている計算です。
スイスではもともとパートタイム勤務が広く定着しており、勤務日数や就業率を調整しながら働くスタイルも身近です。そのため、ひとつの勤務先だけにキャリアを限定せず、別の仕事や個人の活動を組み合わせることとも親和性があります。
一方で、複数就業にはスイスならではの注意点もあります。特に年金制度の第2の柱(BVG/職業年金)では、複数の勤務先から得る収入が分散すると、それぞれの雇用で加入基準に届かず、十分な保障を受けにくくなるケースが問題になっています。スイス政府も、複数就業者の第2の柱における保障について検討を続けています。
だからこそポリワーキングは、単に「仕事をいくつ持つか」だけではなく、収入、時間、社会保障まで含めて、自分の働き方をどう組み立てるかというテーマでもあります。
ひとつの会社で100%働くことだけが標準ではないスイスを見ると、ポリワーキングは新しい流行というより、これまで少しずつ広がってきた働き方に、ようやく名前がつき始めたともいえそうです。
ポリワーキングのデメリットとは?
複数の仕事を持つことで、収入源やキャリアの選択肢を広げられるポリワーキング。一方で、仕事が増えれば、それだけ管理しなければならないことも増えていきます。
代表的なデメリットのひとつが、働きすぎによる疲労やバーンアウトです。複数の勤務先やプロジェクトを抱えると、仕事と休息の境界が曖昧になりやすく、気がつけば常に何かの仕事をしている状態になってしまうこともあります。
また、会社員として働きながら別の仕事を持つ場合には、勤務先の副業規定や守秘義務、競業関係などにも注意が必要です。仕事内容が重なれば、利益相反につながる可能性もあります。
複数の仕事を持つと、スケジュール管理も複雑になります。それぞれの仕事に締め切りや責任があるため、予定を詰め込みすぎると、本来得たかったはずの自由が失われてしまうこともあります。
そして、もうひとつ大切なのが、すべての仕事を同じ熱量で続けようとしないことです。
ポリワーキングは「たくさん働くこと」ではありません。
収入を安定させる仕事、将来育てたい仕事、好きだから続ける仕事。それぞれの役割を考えながら、必要に応じて仕事の量や比重を変えていくことが大切です。
自由度が高い働き方だからこそ、何を増やすかだけでなく、何を減らすかを自分で決める力も必要になる。
それが、ポリワーキングを無理なく続けるためのポイントです。
そして・・・
ポリワーキングは、単に副業を増やすための働き方ではありません。
ひとつの会社やひとつの肩書きだけに自分のキャリアを限定せず、収入、やりがい、将来性、生活とのバランスを考えながら、複数の仕事を組み合わせていく働き方です。
働き方が多様になるなかで、「本業はひとつ」という考え方も少しずつ変わり始めています。
一方で、仕事を増やしすぎれば、時間管理が難しくなり、疲労やストレスにつながることもあります。大切なのは、仕事の数ではなく、自分にとって無理のない組み合わせをつくることです。
これからは、「何の仕事をしているか」だけではなく、「どのように働きたいか」から仕事を選ぶ時代になっていくのかもしれません。
Editor’s Note
ひとつの仕事を長く続けることが「正解」だった時代から、働き方そのものを自分で組み立てる時代へ。
ポリワーキングという言葉に惹かれたのは、単に仕事を増やすという話ではなく、人生の変化に合わせて、仕事の持ち方も変えていいという考え方が含まれているからです。
安定のための仕事、好きだから続けたい仕事、これから育てたい仕事。それぞれに役割があってもいい。
働き方にひとつの正解がないからこそ、自分にとって心地よく続けられる形を選んでいきたいと思います。



