それ、逆効果かも!話題の健康習慣5選
著者:Eat Well · Feel Well · Live Well 編集部

SNSを開けば、より健康に、より美しく、より整った自分になるための方法が次々と流れてきます。
その多くは、完全な間違いから生まれたものではないのですが・・・
実際に一部の人に役立つ可能性があり、研究が進められているものもあります。
しかし、短い動画や印象的な体験談では、効果だけが大きく見え、条件やリスクが抜け落ちることがあります。
健康のために始めた習慣が、いつの間にか不安や負担を増やしてはいないでしょうか。
いま注目されている5つのウェルネストレンドを、違う角度から見直してみます。
1.口をテープで閉じれば、よく眠れる?

眠る前に専用テープで口を閉じ、鼻呼吸を促す「マウステーピング」。
いびきの軽減、口の乾燥対策、睡眠の質の向上などを期待する方法として、SNSを中心に広まりました。
鼻呼吸そのものには、吸い込んだ空気を温め、加湿し、異物を取り除く働きがあります。そのため、「口を閉じて眠れば健康によい」という説明は、もっともらしくは聞こえるのですが・・・。
2025年に発表された系統的レビューでは、睡眠時のマウステーピングを支持する研究はまだ限られていると報告されています。レビューに含まれた研究の一部では、軽度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人に改善が見られましたが、すべての人に効果があるとも確認されていません。
問題は、口呼吸の原因が単なる癖とは限らないことです。
アレルギー、鼻づまり、鼻中隔の問題、扁桃の肥大、睡眠時無呼吸などによって鼻から十分に呼吸できない場合、口を物理的に閉じることで呼吸を妨げる可能性があります。
いびきや口呼吸は、テープで隠すべき症状ではなく、原因を調べるためのサインかもしれません。
覚えておきたいこと:マウステーピングは、誰にでも適した睡眠法ではありません。鼻づまりや強いいびき、日中の眠気がある場合は、まず医療機関に相談することが大切です。
2.サプリメントは、多く飲むほど安心?

ビタミンD、マグネシウム、鉄、亜鉛、オメガ3、プロバイオティクス。
健康を意識するほど、ボトルの数が増えていくことがあります。
一つひとつは一般的な成分でも、複数のサプリメントに同じ栄養素が含まれていれば、気づかないうちに摂取量が重なることがあります。
「天然」「植物由来」と書かれていることは、安全性を保証するものではありません。
米国国立衛生研究所のOffice of Dietary Supplementsは、サプリメントには副作用が生じる可能性があり、医薬品やほかのサプリメントと相互作用する場合もあると説明しています。
米国食品医薬品局も、サプリメントと医薬品の組み合わせによって、薬の働きが強くなったり弱くなったりし、場合によっては深刻な影響が起こり得ると注意を促しています。
サプリメントが不要という意味ではありません。
欠乏が確認されている人、食事制限のある人、妊娠中など、補うことに明確な意味がある場合もあります。大切なのは、種類の多さを健康への努力と取り違えないことです。
覚えておきたいこと:サプリメントは「食品だから自由に組み合わせてよい」とは限りません。成分の重複を確認し、服用中の薬がある場合は医師や薬剤師に伝える!
3.冷たい水に入れば、心も体も強くなる?

冷水浴やコールドプランジは、回復力を高め、気分を整え、炎症を抑える方法として注目されています。
冷たい水から上がった直後の爽快感や達成感は強く、習慣にしている人が魅力を語りたくなるのも不思議ではありません。
2025年に発表された系統的レビューでは、冷水への浸漬がストレス、睡眠、生活の質などに影響する可能性が示されました。一方で、研究数や参加者数はまだ限られ、効果が現れるタイミングにもばらつきがありました。つまり、期待されているすべての効果が確立したわけではありません。さらに、体が急に冷水に触れると、息が速くなる、心拍数や血圧が上がるといった「コールドショック反応」が起こります。心臓や血管に持病がある人には、特に注意が必要です。
自然の湖や川では、冷たさに加えて、水流、深さ、足場の悪さも危険につながります。健康法として始めたことで、低体温症や溺水のリスクを負っては本末転倒です。
覚えておきたいこと:冷たさに耐えた時間は、健康度を競う数字ではありません。急に極端な温度へ入らず、一人で行わないこと。
4.「クリーンな食事」が、食べることを苦しくしていない?

加工度の低い食品を選び、野菜や果物を増やす。
こうした食生活そのものは、決して悪いものではありません。
「クリーン」という言葉を食べ物に使うと、それ以外の食品が「汚れている」「悪い」という感覚を生むことがあります。
砂糖をやめる。小麦を避ける。乳製品を外す。添加物を排除する。
一つずつルールを足していくうちに、外食が怖くなり、人と食卓を囲めなくなり、食品表示を確認しなければ落ち着かなくなることがあります。健康的な食事への関心が極端になり、食べ物の純粋さや正しさに強くとらわれる状態は、「オルトレキシア」と呼ばれています。現時点では独立した正式な診断名ではありませんが、栄養不足や強い不安、社会的な孤立につながる可能性が指摘されています。2017年の研究では、健康的な食事を扱うInstagramアカウントを利用する人々において、Instagramの利用頻度が高いほど、オルトレキシア傾向が強いという関連が報告されました。ただし、これはSNSの利用が直接の原因だと証明したものではありません。
健康的な食事は、本来、生活を支えるものです。それによって生活の自由が小さくなっているなら、ルールを一度見直してもよいのかも。
覚えておきたいこと:一つの食品や食事で、健康のすべてが決まるわけではありません。「何を排除できたか」ではなく、食事全体のバランスと、無理なく続けられるかを再確認。
5.睡眠スコアが低いと、本当に眠れていない?

朝起きたら、自分の体調を確かめるより先にスマートウォッチを見る。
睡眠時間、深い睡眠、レム睡眠、回復度。数字が高ければ安心し、低ければ「今日は調子が悪いはず」と感じる。
睡眠トラッカーは、自分の生活リズムに気づくための便利な道具です。しかし、家庭用機器が示す睡眠段階やスコアは、医療機関で行う睡眠検査と同じものではありません。
2017年、睡眠研究者たちは、トラッカーの数字を完璧にしようとするあまり、かえって睡眠への不安を強めてしまう状態を「オルソソムニア」と名づけました。
眠ろうと努力するほど頭がさえ、理想のスコアを目指すほど眠れなくなる。
そして、目覚めたときには比較的元気だったのに、画面に「睡眠不足」と表示された瞬間から疲れを感じ始めることもあります。データは参考になりますが、あなたがどう感じているかまで、時計が決めるわけではありません。
覚えておきたいこと:睡眠スコアは診断ではありません。数字を見ることで不安が増すなら、数日間トラッキングを休み、自分の眠気、気分、集中力を観察する方法もあります。
「体にいい」と、どう付き合う?
マウステーピングやサプリメント、冷水浴、食事管理、睡眠トラッカー。それぞれが、自分に合った方法で取り入れられているなら、心強い味方になることもあります。
大切なのは、流行しているという理由だけで、それを自分にとっての正解にしないことです。
新しい健康法に出会ったときは、生活に加える前に、三つだけ問いかけてみてください。
その効果を裏づける根拠はあるでしょうか。
それを続けることで、安心が増えているでしょうか。
それとも、少し不安が増えているでしょうか。
新しい習慣を一つ加える時には、「これは本当に、いまの私に必要?」と問いかけてみるのも良いかもしれないですね。




