五感の脳トレ|自宅でできるストレスケア習慣
- ボロミエ 利美

- 8月18日
- 読了時間: 7分
著者:ボロミエ利美
「頭の中がいっぱいで、なかなか気持ちを切り替えられない」
そんなとき、長時間の瞑想や特別なリラックス法を行う必要はありません。
まずは、今見えているもの、聞こえている音、触れているものなど、自分の五感に意識を向けてみましょう。
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚は、私たちが周囲の状況を感じ取るために毎日使っている感覚です。
忙しいときほど、意識は「さっき起きたこと」「これからしなければならないこと」「まだ起きていないこと」へ向かいがちです。
そこで、目の前にある色を見る。聞こえてくる音をひとつ探す。飲んでいるお茶の味をゆっくり感じる。
こうして感覚へ意識を戻すことは、「今、この瞬間」に注意を向けるマインドフルネスの実践にもつながります。
厚生労働省の「こころの耳」でも、マインドフルネスは五感を使って「今」に集中する方法として紹介されています。
この記事では、特別な道具を使わず、自宅ですぐにできる5つの感覚を使った簡単なマインドフルネス習慣をご紹介します。
全部行う必要はありません。
まずは30秒、ひとつの感覚に注意を向けるところから始めてみましょう。
ファイブセンス(五感)と脳のつながり

五感(視覚・嗅覚・味覚・触覚・聴覚)は、私たちが周囲の状況を知るための大切な感覚です。
目に入るもの、聞こえる音、香り、味、肌に触れる感覚。私たちの脳は、こうした情報を絶えず受け取っています。
一方、忙しいときや考えごとが多いときは、意識が過去の出来事やこれからの予定、不安や心配ごとに向き続けることがあります。
そんなときは、意識的に五感へ注意を戻してみましょう。
窓から見える光を見る。お茶の香りを感じる。カップの温かさに触れる。外から聞こえる音に耳を澄ます。
大切なのは、無理にリラックスしようとすることではありません。
「今、自分は何を感じているだろう?」と、目の前の感覚に少しだけ注意を向けること。
なのです。
1:視覚:ひとつのものを、ゆっくり見る

私たちは日常の中で、スマートフォンやパソコン、文字、写真、動画など、多くの視覚情報を受け取っています。
そこで、五感を使ったマインドフルネスでは、次々に情報を見るのではなく、目の前にあるひとつのものへ意識を向けてみます。
たとえば、スマートフォンから目を離して、部屋の中にあるものをひとつ選んでみましょう。
植物でも、カップでも、窓から差し込む光でもかまいません。
30秒ほど、そのものを眺めながら、
どんな色をしているか
どんな形をしているか
光がどこに当たっているか
今まで気づかなかった部分はないか
を観察してみます。
窓の外を見て、空や木、雲など少し遠くにあるものへ視線を向けるのもひとつの方法です。
キャンドルが好きな人なら、炎の揺れを短い時間眺めるのもよいでしょう。安全な場所に置き、火から離れないようにしてください。
大切なのは、無理に頭を空っぽにしたり、リラックスしようとしたりすることではありません。
いつもは何気なく見ているものを、少しだけ丁寧に見る。
それだけでも、視覚を使った小さなマインドフルネスになります。
2:嗅覚:ひとつの香りに意識を向ける

香りは、記憶や感情と結びつきやすい感覚のひとつです。
ふとした香りから、昔行った場所や季節、人との記憶を思い出した経験がある人もいるでしょう。
五感を使ったマインドフルネスでは、特別な香りを用意する必要はありません。
まずは、今、自分のまわりにある香りをひとつ探してみましょう。
たとえば、
淹れたてのお茶やコーヒー
料理に使うハーブ
柑橘類の皮
石けん
窓を開けたときの外の空気
木や花の香り
などです。
20〜30秒ほど、その香りに注意を向けてみます。
強いか、かすかか。爽やかか、温かみがあるか。時間がたつと香り方が変わるか。
「好き」「嫌い」とすぐに判断するのではなく、まずはそのまま感じてみるのがポイントです。
アロマオイルやお香が好きな人は、それをひとつの感覚に集中するきっかけとして使ってもよいでしょう。
大切なのは、部屋を強い香りで満たすことではありません。
普段は通り過ぎてしまう香りに、少しだけ注意を向けること。
それだけでも、嗅覚を使ったマインドフルネスになります。
3:味覚:ひと口を、ゆっくり味わう

味覚は、毎日の食事や飲み物の中で簡単に意識できる感覚です。
特別なものを用意する必要はありません。
今から食べるもの、飲むものをひとつ選び、最初のひと口だけ少しゆっくり味わってみましょう。
たとえば、
お茶やコーヒー
旬の果物
スープ
パン
チョコレート
普段の食事のひと口
などで十分です。
口に入れたら、すぐに次へ進まず、
甘い、酸っぱい、苦い、塩味がある。温かい、冷たい。やわらかい、カリッとしている、なめらか。
そんな味や温度、食感の変化に意識を向けてみます。
ハーブティーや日本茶も、香りと味をゆっくり感じやすい飲み物です。
大切なのは、「何を食べるべきか」と考えることではありません。
いつもの食事を、自動的に口へ運ぶのではなく、ひと口だけ丁寧に味わってみることです。
4:触覚:心地よさを選ぶ

触覚は、今この瞬間の体の感覚に気づきやすい感覚のひとつです。
特別なセルフケア用品がなくても、毎日の暮らしの中には、触覚を意識できるものがたくさんあります。
たとえば、
服が肌に触れる感覚
温かいカップを手で持つ感覚
タオルやブランケットの質感
シャワーやお風呂のお湯
足の裏が床に触れる感覚
シーツや枕の感触
などです。
ひとつ選んで、30秒ほどその感覚に意識を向けてみましょう。
温かいか、冷たいか。やわらかいか、しっかりしているか。なめらかか、少しざらついているか。
普段は気に留めない感触を、あえて丁寧に感じてみます。
お風呂に入るときも、ただ体を洗うのではなく、お湯の温度や肌に触れる感覚を意識してみると、触覚を使ったマインドフルネスになります。
頭皮をやさしくマッサージしたり、両手で温かい飲み物を包むように持ったりするのもよいでしょう。
大切なのは、特別なリラックス習慣を作ることではありません。
今、体が何に触れているのかを少しだけ感じてみること。
それだけでも、意識を思考から体の感覚へ戻すきっかけになります。
5:聴覚 — ひとつの音に耳を澄ます

5:聴覚 — ひとつの音に耳を澄ます
私たちのまわりには、意識していなくてもたくさんの音があります。
音楽、動画、通知音、家電の音、車の音、人の話し声。
五感を使ったマインドフルネスでは、新しい音を加えるのではなく、まずは今すでに聞こえている音をひとつ探してみましょう。
たとえば、
窓の外から聞こえる鳥の声
風や雨の音
お湯を沸かす音
お茶やコーヒーを淹れる音
遠くを走る車の音
自分の呼吸の音
などです。
30秒ほど立ち止まり、その音がどこから聞こえてくるのか、近いのか遠いのか、大きいのか小さいのかを観察してみます。
「心地よい音」を探す必要はありません。
聞こえてきた音を、そのまま聞いてみることがポイントです。
ときには、音楽や動画を止め、スマートフォンの通知からも少し離れてみましょう。
完全な静けさをつくることが目的ではありません。
普段どれだけ多くの音に囲まれているのかに気づき、ひとつの音へ意識を向けてみてください。
今日からできる「五感リセット」
特別な準備も、長い時間も必要ありません。
1〜2分だけ、五感をひとつずつ意識してみましょう。
見る — 目の前にあるものの色や形を見る。
嗅ぐ — お茶やコーヒーなど、ひとつの香りを感じる。
味わう — ひと口だけ、ゆっくり味わう。
触れる — カップの温かさや服の感触を感じる。
聞く — 今聞こえている音をひとつ探す。
すべてを完璧に行う必要はありません。
途中で別のことを考えてしまったら、また目の前の感覚へ意識を戻せば十分です。
五感を使ったマインドフルネスは、忙しい毎日の中に新しい習慣を増やすためのものではあ
りません。
いつも無意識に使っている感覚に、ほんの少し注意を向けること。
仕事の合間や帰宅後、寝る前など、頭の中がいっぱいだと感じたときに、まずはひとつの感覚から試してみてください。
著者について

ボロミエ利美
スイスを拠点にする、食、美容、ウェルビーイング、ライフスタイルを扱うバイリンガルメディア「Eat Well · Feel Well · Live Well」の創設者兼編集長です。美容食マイスター、アロマセラピーやハーブについて学んだ経験を生かし、レシピをはじめ、内側から美しさと健やかさを育むための実用的なアイデアを発信しています。


