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ジュネーブ「Z’Oasis」で再発見する、日本の「余白」の美学

一期一会の心から、施術後に静かに味わう一杯の日本茶まで。ジュネーブ旧市街の中心にあるZ’Oasisで、日本文化に着想を得たウェルビーイングのあり方を味わうことができます。


著者:Eat Well · Feel Well · Live Well 編集部


Z’Oasis in Geneva

写真提供:Z’Oasis


一期一会、侘び寂び、木漏れ日。


日本では、こうした言葉は文化の中に深く根づいているため、その意味をあらためて考える機会は少ないかもしれません。ところが、数千キロ離れたジュネーブでは、これらの感性が丁寧に読み解かれ、現代のウェルネス体験として形になっています。


その場所こそが、ジュネーブ旧市街のウェルネススパ「Z’Oasis」です。


Z’Oasisの物語は、京都への旅から始まります。桜を楽しむはずだった旅で出合ったのは、思いがけない雪。そしてその後、伝統的な旅館で茶の湯を体験することになるのです。


同じ瞬間は、二度とまったく同じ形では訪れない。


その気づきは、日本の「一期一会」という考え方と結びつき、やがてZ’Oasisの理念を形づくる礎となりました。


Z’Oasisの興味深いところは、日本文化を単なる装飾として取り入れているわけではない点です。畳や和紙の照明、陶磁器だけにとどまりません。マッサージやフェイシャルの後には、すぐに日常のペースへ戻るのではなく、一人ひとりに合わせた日本茶のサービスを楽しむ15分間が設けられています。


何かをさらに足すのではなく、いったん立ち止まる。


次のことへと急ぐのではなく、すでにそこにあるものを味わう。

ひとつの瞬間と次の瞬間のあいだに、意識してひと息つく。その「余白」の感覚こそが、Z’Oasisでの体験の中心にあります。



ジュネーブ旧市街に息づく、日本の静けさ

Z’Oasisは、ジュネーブ旧市街の歴史ある街並みの中にあります。


石壁や古い木の扉など、建物がもともと持つ表情を残しながら、畳や和紙の照明、陶磁器といった、日本の美意識に着想を得た要素を室内に取り入れています。

それは、スイスに日本を再現しようとするものではありません。ジュネーブの歴史と、日本の静かな美意識が、ひとつの空間に共存しています。


Z’Oasisが取り入れている日本の考え方のひとつが、不完全さや移ろい、簡素さに美を見いだす「侘び寂び」です。もうひとつは、木々の葉のあいだから差し込む日の光を表す「木漏れ日」。


どちらも、新しい何かを足し続けるのではなく、すでにそこにあるものへ目を向けるきっかけを与えてくれます。


スイスの歴史を感じさせる建物と、日本の穏やかな美意識が出合うZ’Oasisの空間にも、その感性が息づいています。



「一期一会」をウェルネス体験へ

Z’Oasis in Geneva

写真提供:Z’Oasis


Z’Oasisの理念の中心にあるのは、「一期一会」。


日本の茶の湯と深く結びついたこの言葉は、人や場所、ある瞬間との出合いが、二度とまったく同じ形では訪れないことを教えてくれます。


現代のウェルネスでは、マインドフルネスや今この瞬間に意識を向けること、自分自身とのつながりを取り戻すことがよく語られます。Z’Oasisの興味深さは、こうした考え方を、ゲストが過ごす時間の流れそのものに落とし込んでいる点にあります。


それが最もよく表れているのは、施術を終えた後の時間であると言えます。



施術の後も、急がなくていい

Z’Oasisでは、マッサージやフェイシャルの後に、一人ひとりに合わせた日本茶のサービスを楽しむ15分間が設けられています。


ささやかな心配りですが、そこには意味があります。スパでの施術が終わると、着替え、スマートフォンを確認し、次の予定へと急ぐ。くつろぐためにわざわざ確保した時間さえ、忙しいスケジュールの中で効率よくこなす予定のひとつになりがちです。


Z’Oasisでは、その流れがいったん止まります。お茶を飲む時間があり、すぐに立ち上がって帰る必要もありません。施術から外の世界へ戻るまでのあいだに、ひと息つく時間があります。


日本の茶文化は、こうした間の大切さを古くから心得てきました。ただ飲むだけなら、お茶は数分で飲み終えられます。それでも、支度をし、待ち、茶碗を手に取り、味わう。その一つひとつが、体験の一部になります。


Z’Oasisの「一期一会」が最もよく表れているのは、何かの特別な演出ではないのかもしれません。心身をいたわる施術の後に、お茶とともに過ごす静かなひとときなのです。



指圧・あん摩・Kobido——ジュネーブで受ける、日本に着想を得たトリートメント

Z’Oasis in Geneva

写真提供:Z’Oasis


日本とのつながりは、Z’Oasisの施術メニューにも表れています。Z’Oasisには、指圧、あん摩、日本式アロマセラピー、Kobido(日本式フェイシャルマッサージ)など、日本の手法に着想を得たトリートメントがあります。


指圧では身体に圧を加え、あん摩では衣服の上から圧迫や揉みほぐし、ストレッチなどを組み合わせます。フェイシャルにはKobidoのほか、「Matcha Serenity Facial」や、日本と韓国のスキンケア製品を使用する「Japanese Cosmo Facial」があります。



日本茶を味わう時間

Z’Oasis in Geneva

写真提供:Z’Oasis


抹茶を使った茶の湯体験や、ティーソムリエが案内するテイスティングを通じて、日本茶の文化に触れることができます。


Z’Oasisでは、施術と日本茶を組み合わせたプランも用意されています。「Sunrise in Kyoto」は、マッサージまたはフェイシャルに、季節の日本茶のテイスティングを組み合わせたものです。


2名向けの「Midnight in Tokyo」では、それぞれが施術とお茶の体験を楽しんだ後、最後のひとときを一緒に過ごすことが出来ます。


京都、東京。


その土地の名前は日本を思い起こさせますが、単にジュネーブで日本への旅を再現するためのものではありません。

お茶のために時間を取り、心を引きつける物語に耳を傾けながら、ひととき、別の世界へと思いを巡らせるための時間なのです。



スイスで再発見する、日本の「余白」

Z’Oasis in Geneva

写真提供:Z’Oasis


海外で日本文化に触れると、思いがけない気づきを得ることがあります。日本ではあまりにも身近な考え方が、異なる文化を通して捉え直されることで、まったく違って見えるのです。


一期一会。侘び寂び。木漏れ日。


これらがジュネーブでひとつのウェルネス体験として形になっている姿は、心身を整えるために、必ずしも新しい何かを生活に加える必要はないと気づかせてくれます。


ときには、何かを手放すこと。


予定に少し余裕を残すこと。


スマートフォンから目を離すこと。


一杯のお茶を飲むこと。


Z’Oasisの始まりは、桜を求めて訪れた京都で、思いがけず雪に出合った旅でした。だからこそ、「一期一会」はこの場所にふさわしい理念なのかもしれません。心に残る瞬間は、いつも予定どおりに訪れるとは限らない。予期しない出来事を迎え入れる余白を残すことから、ウェルビーイングが始まることもあるのでしょう。



住所 : Geneva Old Town

Rue de la Pelisserie 19

1204 Geneva, Switzerland


Z’Oasisでは、マッサージ、フェイシャル、日本茶の体験やテイスティングが楽しめます。

最新の施術メニュー、料金、営業時間、ご予約については、Z’Oasis公式サイトをご確認ください。


Editor’s Note

日本では身近な「一期一会」や「侘び寂び」が、ジュネーブでは、空間のしつらえやお茶を楽しむ時間として表現されています。今回、編集部が注目したのは、施術そのものだけでなく、その後の15分間まで大切にしていること。くつろぎの時間をどう終えるか。その視点は、私たちの日常にも取り入れられそうです。

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